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レンズコートについて |
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レンズがガラスで出来ていることは、皆さんもご承知の物と思います。
軽量化やコストを下げるためプラスチックを使うこともありますが、スコープではほとんどがガラス製です。
メガネや携帯電話のカメラはプラスチック製が多いですね。
スコープにガラスを用いることの最大の理由は、像を明瞭に見せるための透明度の高さです。
ただし、そのガラスといえど表面の反射率は一般的に4%と言われ、その分通過する光の量(透化率)が減ります。ちなみにプラスチックの女王と呼ばれるアクリルでは7%の反射率です。
スコープでは基本的な構成でもレンズを10枚は使用していることを前回書いたと思いますが、6群10枚のレンズ構成の場合 4%×12=48%の光が失われ52%が透化率となります。
あれ?4%×10=40%だから透化率は60%じゃないないの?とお思いでしょうが、実はこの透化率とは、レンズの片面でのことを指しており、さらにぴったり合わせられている面では計算に入れないのです。
ですので、6群であればレンズは6セットあり、その表裏面として全部で12面ということなのです。
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このように普通のガラスレンズをスコープに使ってしまうと実際に視覚に到達する光はほぼ半分になってしまうので、その反射を抑えて像を明るくするためにレンズにコーティングを行うわけです。
コーティングの由来については、昔カビの生えたレンズが新しいレンズより明るく見えたと言うことを発見した人がいて、その研究の結果だということらしいです。
レンズコーティングは薄膜技術といわれ、色々な種類がありますがここではハッコー製品の主なコーティングについてご紹介します。 |
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コーティングの名称 |
反射率(片面) |
備考 |
コーティングなし |
4% |
一般のレンズ用ガラスの場合 |
MgF2(通称マゼンタ) |
1.5% |
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クラレット(通称レッド) |
1.0% |
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グリーン |
0.7% |
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H |
0.5% |
スプリングフィールド用OEM品等に採用 |
H2 |
0.2% |
ホーラスビジョン用OEM品等に採用 |
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H2コートだと0.2%×12=2.4%で透過率97.6%!ほとんどの光が通過していますね。 |
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通常コーティングはクレラット(レッド)なら赤、グリーンなら緑、という風に色で判別できますが光の状態や角度によってそう見えない場合もありますので、色についてはあくまで“目安”という認識をしておいたほうが良いでしょう。例えばWinnerはグリーンマルチコートですが、日光の下で見るとマゼンタ(赤紫)に見えたりもします。
とにかく、覗いてみてより像が明るく見えることがスコープにとっては大切です。 |
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さて、ここまでは像を明るくするためのコーティングでしたが、目的が違う場合もあります。
ドットサイトのレンズコーティングなどがその例です。
ドットサイトは照準の形をした光をレンズ面に反射させ、実像と重ね合わせて見える構造となっています。
使用する光源は赤色の発光ダイオードがほとんどで、その波長は630nmです。
nmは「ナノメーター」という光の波長の単位で、人が見ることのできる光の範囲(可視範囲)は380nmから780nmです。
380nmは紫色、780nmは赤色で、それを超える範囲を紫外・赤外と呼んでいます。
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■光の可視範囲とドットサイトサイト用コーティングの反射率の関係(イメージ)
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ドットサイトでは実像はなるべく通過させ、発光ダイオードの光は充分に反射させる必要があります。
現在はルビーコートという640nmを中心とした光を反射するコーティングを用いるのが一般的です。
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“透化率を上げる”ためではなく“特定の光を反射させる”ためのコーティングですので、ほとんどのドットサイトのレンズが外側からは赤色に見えて覗くと青っぽく見えるわけです。
像が明るく見え、且つドットが明瞭に見える物がよいドットサイトと言えるでしょう。
ガラスの材料や加工、コーティングの種類などまだまだ、追及不足な点もありますが、良いスコープの判断基準として参考にしていただけると幸いです。
是非たくさんのスコープを覗いてみてその違いを体感してみて下さい。 |
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